読書       

               

・すべてがFになる   作者:森 博嗣  出版社:講談社                                               
 紹介:工学部水柿助教授の日常を読んで面白かったので森博嗣の小説も読んでみようと思った。読んでみると期待通り面白かった。読み込めた。ミステリー作品である。ミステリー作品とは、事件がおきた状況を作家が勝手に設定し、それの一部の状況(事実)を読者には隠して書かないことによって、それを謎とする。その謎は普通、ミステリー小説では探偵や探偵役の主人公がでてきて謎解きをして解決する。会話分以外の部分を地の文というがミステリー小説とは地の文で嘘はつけない決まりになっている。それによって文章をうまく組み立てて作者はミステリー小説を書かなきゃいけなくなる。たとえば、物語の謎を隠すのにうまく隠す事が求められる、うまく隠してかつ、その隠してた謎が暴かれたときも、その謎が読者を納得させるものでなくてはならない。読者は小説をミステリー小説の決まりを理解しながら読むことによって、ミステリー小説では普通の小説のようにただ小説の中の話に入り込む面白さだけではなくて、作者の意図とかを読みながら予想できる。小説を読んだときにその意図が自分が納得できるかできないかによって、読んだあとの面白さも違う。読んだあとは大抵今までだったら、もう終わりか、としか思えなかったものが、ミステリー小説では、決まった仕組みがあるだけに小説を読みながらまたは読んだ後に、自分の考えを本に向けやすい。ミステリー小説には、普通の小説での楽しみ、登場人物に考え方とか野次馬的にただその話が面白いというのもあってかつ、謎と謎解きがある。この本はその仕組みを裏切らずに、かつ内容も面白かった。謎は一回溶けてしまえば考えてみればあーそうか、と最初は馬鹿みたいな理由だなと必ず思うと思うが、細かいアリバイとかから犯人が決まるのではなく、考えれば分かる(簡単に説明が付く)事が謎の答えになっていた。ミステリー小説の謎解きなんてできない、考えるだけ無駄だなと思ってたものが、この小説の分かりやすい仕組みを読んで、これならちょっと、謎解きを考えながら読むのも面白いかもな、と読み終わってから、考え方が変わったのが楽しかった。